カムカム食とカムカム健康プログラムの口と全身の健康への効果は論文で報告されています1-3)。ここでは、その研究結果について解説します。
①自宅での口腔のエクセサイズ、②みんなで集まっての全身のエクササイズとともに、③運動後にカムカム弁当を他の参加者と一緒に食べるという、
「口の健康+栄養&嚙む噛む+運動+社会参加」を組み合わせたプログラムを試してもらいました。
12週間、本プログラムに参加した方(カムカム群)と運動だけの方(対照群)の口と身体の運動機能を前後比較しました。
その結果、カムカム群では、対象群と比較して、舌の力や滑舌が改善し、体脂肪率が低下し、Time Up Goテスト※も改善していました4)。
※Time Up Goテストとは:着座姿勢から立ち上がり3m歩き、また戻ってきて着座するまでの時間を計測するテスト。全身の運動機能の指標になる。
口の機能への効用
身体機能への効用
カムカム群では、体脂肪率とTime Up Goテストが12週のプログラム後に改善していました
参加者の皆さまも、はじめは噛み応えのある弁当にびっくりしていたようですが、プログラムを続けていくと、「噛む」ことを意識するようになり、しっかり噛んで食べることに慣れていきました。1か月もすると皆さま問題なくカムカム弁当を食べられるようになっていました。
1人で食べる”孤食”は、フレイルやうつ病のリスクを高めるとも言われています4),5)。みんなで体操をした後に、一緒にお弁当を食べることで、友達が増えたという意見が多く聞かれました。みんなで食べるという社会参加活動の効用も現れたようでした。
体操も、口のエクセサイズも、栄養指導も、適切な栄養もすべて重要です。しかし、個別の実践により、「パッケージ化」して提供することで、相乗効果が現れます。カムカム弁当については、弁当の提供が必要ということではありません。
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噛みごたえを意識した調理
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普段から噛むことを意識して食事を選ぶ
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噛むことを意識して食事を摂る
といった普段からの心がけを意識付けすることがカムカム健康プログラムの目的です。
<参考文献>
- Matsuo K, Kito N, Ogawa K, Izumi A, Masuda Y: Effects of textured foods on masticatory muscle activity in older adults with oral hypofunction. J Oral Rehabil. 47:180–186. 2020. DOI: 10.1111/joor.1290144.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/joor.12901 - Kito N, Matsuo K Ogawa K, Izumi A, Kishima M, Itoda M, Masuda Y: Positive effects of physical and oral exercises combined with “textured lunch” gatherings on physical and oral function in older individuals: a cluster randomized controlled trial. J Nutr Health Aging. 23(7):669-676. 2019. DOI:10.1007/s12603-019-1216-8.
https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs12603-019-1216-8 - Matsuo K, Kito N, Ogawa K, Izumi A, Kishima M, Itoda M, Masuda Y: Improvement of oral hypofunction by a comprehensive oral and physical exercise program including textured lunch gatherings. J Oral Rehabil. 48:411-421. 2021. doi.org/10.1111/joor.13122
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/joor.13122 - Kuroda A, Iijima K et al. Eating Alone as Social Disengagement is Strongly Associated With Depressive Symptoms in Japanese Community-Dwelling Older Adults. J Am Med Dir Assoc. 2015; 16: 578-85.
https://www.jamda.com/article/S1525-8610(15)00079-1/fulltext - Takahashi K, Iijima K, et al. A qualitative study on the reasons for solitary eating habits of older adults living with family. PLoS One. 2020; 15(6): e0234379. Published online 2020 Jun 8. doi: 10.1371/journal.pone.0234379
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0234379